コリッコ研究会ブログ

会長インタビュー#コリッコ研究会02

研究会にどんなメンバーが参加しているのかを、一人ひとりにインタビューすることで明らかにしていきたいと思い、今回から連載スタートする。

 

トップバッターは、私の父であり、私が代表をしているクォーレ インターナショナル株式会社の取締役会長でもある、”会長”こと鎌田崇裕。親子でインタビューというのも気恥ずかしいものもあったが、案外抵抗なくZOOMでインタビューができた!

 

一、何をやっているか

 

1、株式会社カマタテクナスの経営

 

福岡市博多区で産業機械に取り付ける圧縮空気の清浄化機器である”WELL AIR(ウェルエアー)”を開発・製造・販売している。多くの方々には馴染みのない分野だと思われるが、分かりやすい採用例としては、JRの列車やトヨタの自動車工場の工作機械の一部に取り付けられている。

 今年で創業46年になる。驚くべきは、空圧機器メーカーであるにも関わらず、本人を含めて基本3名で運営しているということ。オリジナルの機械商品を3名でメーカーとして開発・製造・販売までしている会社というのは、実はかなり稀有な存在らしい

株式会社カマタテクナス

 

2、クォーレ インターナショナル株式会社の会長

 

私の祖父であり、会長からすると父である鎌田崇暉(かまたすうき・故人)の書の芸術活動により、イタリアの貴族・名家との交流が生まれた。それをきっかけにイタリア・ローマで法人設立し(KoKoRo SRL.)、香水の製造・販売事業を展開。それに伴って、日本法人として設立したのがクォーレ インターナショナル株式会社。しかし、イタリア経済の不景気やリーマンショックの影響を受け、香水事業は撤退。その後、イタリアの食材などを輸入し、日本で販売する事業にシフト。結果として、コリッコのオリーブオイルの輸入・販売にも繋がっている。現在は代表取締役は私に引き継がれていて、会長は文字通り会長として経営に関わっている。

 

3、ピザの居酒屋 鎌田製作所の経営

 

2017年にカマタテクナスの新規事業として、飲食店を開業し、運営している。ピザ×日本酒をテーマに福岡市博多区御供所町に出店。この御供所町は私の祖父の郷であり、曽祖父が鎌田製作所という鐵工所を営んでいた過去があり、この変わった店名の由来になっている。イタリアとの関係を背景にこだわりの輸入食材はもちろんだが、特にこだわり抜いた食材は国内外の凄腕生産者から調達し、日本酒のプロの監修を入れながら、博多のピッツェリアとして親しまれている。

鎌田製作所

 

 

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4、有限会社ナスカの経営

 

カマタテクナスの仕事の展示会で知り合った凄い物性物理の先生がいて、その研究者が開発したナノテク技術の会社の経営にも携わっている。鎌田製作所の食材にその技術を応用している。例えば、セミドライトマトの菌数を減らしたり、揚げ油としてのオリーブオイルの長寿命化を実現をするなどしている。

 

二、背景

 

1、カマタテクナスの前身

 

会長が実家の家業に帰ってきたのは27歳の頃。当時、私の祖父(会長の父)が祖母と一緒に開業し、コンプレッサーという空圧機械の修理業をメインに営んでいた。世間はバブル中でもかなり経営は厳しく、ジリ貧で何とかやっていたという。そこに帰ってきた会長は、とにかく他に売上を立てる手段として、色んな事業に手を出してみたという。しかし、どれも大して上手くいかなかったそうだ。

コンプレッサーマシン

 

2、機械の修理業からメーカーへ転業

 

コンプレッサー修理業の延長で、コンプレッサーのメンテナンス製品も仕入れて販売していた。とある展示会で「これはいいかも!」と思った製品を試しに仕入れてみたそうだ。それを修理などでお付き合いがあったお客さんに使ってもらったところ、クレームが殺到した。会長と祖父で原因を突き止めいくうちに祖父が「これはもっと改良できるんじゃないか」という事になり、一緒に製品開発に着手した。何度も失敗したが、改良&テストを重ねるうちに本当に優れたものになっていった。これが現在の主力商品であるWELL AIRの開発秘話だ。

WELL AIR出荷前の性能検査

 

3、優れた商品を作るだけでは生き残れない

 

WELL AIRの効果は確かなものがあり、これはイケるという可能性を感じた。しかし、次に機械業界の商流の障壁にぶち当たった。「優れた商品ができました」といくら商社や販売店にアピールをしても、それまで修理業をやっていた零細の町工場としてしか見なされず、本質の商品の機能や可能性について相手をしてくれなかったそうだ。おそらく「そんな事ができるはずない」という嫉妬や固定観念的なものが販売店側にもあったのだろう。そんな相手に無理に説得するのも違うと考えた会長は、他の手段を講じていった。

 

4、ローカルだけではなく外部の評価を取りに行った

 

会長の大学時代の繋がりで、当時東京工業大学の大学院生をしていた知り合いにWELL AIRの事を説明すると「分かる」と答えてもらえた。そこで、その内容を大学で実験してもらって、その実験データを取ってもらい資料にしてもらったそうだ。他にも東京では、様々な人が評価をしてくれ始めた。早速、政府の支援事業にも該当する内容だと言われて、認定を取る事ができ、補助金を申請するなどした。その後、ベンチャー企業として色々な場でプレゼンをするようになった。それと同時に、WELL AIRの販売で提携してくれる販売店の開拓を進めた。

 

5、小さく垂直統合を試みた

 

WELL AIRの評価と共に徐々にカマタテクナスの業績が成長していくわけだが、ここでどう成長していくかの分岐点となった。一般的には、空圧機器業界に属しているのだがら、その業界で他の商品開発をしたり、大きな工場を設備したりするのが定説。しかし、会長はそこには過酷な競争があるし、元々機械の専門家でもないので勝ち目を感じなかったという。むしろ、確かな手応えや周囲の評価があったのは何か商品を開発し、販売まで繋げて経営していくというゼロイチのプロセスだった。世の中に多くのメーカーはするが、ほとんど一人で開発から製造、営業、出荷というプロセスを経験する人は限られているとのこと。営業だけとっても、WELL AIRの営業で日本全国のみならず海外20ヵ国程に周り米国やタイ、韓国と合弁会社を設立したりと。実際、かなり貴重なプロセスを経験していると言えるだろう。会長曰く「水平展開ではなく、小さく垂直統合を目指した」。

 

6、機械や工場の奥の基礎研究や技術思想に触れておく

 

垂直統合といえば、商品開発から最終ユーザーへ届ける販売までのサプライチェーン全てに関与するというビジネスモデルの事。しかし、もっと奥があるという。それは、メーカー、つまり機械や工場を使う以前の問題として、どのような研究や技術に基づいてやっていくのか。そこに完全に理解できなくても、触れておく事が大事だそうだ。工場はあくまでも作業であって、前提となる技術や研究まで深堀りする事で、全く別分野の仕事のヒントになったりするらしい。実際、会長は有限会社ナスカというナノテク技術の研究所の社長もしていて、そこに関わっている事がアイデアの源泉になっているのかもしれない。

 

7、技術応用の場としての鎌田製作所

 

飲食店事業も一般的には機械メーカーがするような事でもない。しかし、WELL AIRというヒット商品で出した利益をどこに再投資して、会社が成長していくかというのは自由だ。鎌田製作所は飲食店としての経営だけでなく、これまで会長が手触り感を持って経験してきたノウハウと新たな技術を応用するチャレンジの舞台にもなっている。

 

 

三、コリッコと何ができそうか、何を期待しているか

 

1、ライフスタイルの提言

 

今までやってきたことは、ものを作って売るというところまで。しかし、産業革命始まって以来ずっと大量生産大量消費が拡大していて、モノに溢れた世の中になっている。利益の追求が大きくなり、売れるかどうかわからないものを大量に生産している。お金としては、ロスも想定して利益の中で相殺している。一見無駄は見えないが、実際の物では大量の売れ残り、廃棄が行われている。生産に使ったエネルギーは2度と戻らない。したがって、これから必要なのは、大量生産大量消費からのライフスタイルの見直し、コリッコには新しいライフスタイルと新しいコミュニティデザインの可能性を感じている。

 

2、中規模量産

 

現在、全国的に衣食住の分野で手仕事が見直されて、評価される。しかし、全てが手仕事になると文明として退化するような発想になってしまう恐れがある。手仕事や量が限られた素材にちょっとした機械化が導入することによって、中規模の量産が実現する。機械や技術を否定するのではなく、上手に使っていく。

 

3、経済圏を形成する

 

グローバル資本主義及び大量生産大量消費の世界では、同時に大量のロスが生まれてしまう。同時にたくさんの労働者と消費者を生み出す。もっと規模を小さくし、多拠点に生産現場を分散させ、生産者と消費者を同じ人間が行うコミュニティが出来ると、ロスを減らす事ができるのではないか。「注文受けてから初めて生産する」みたいなサイクルを作りたい。人の根源的な欲求として創造性を発揮する欲求があると思う。労働して、お金稼いで、そのお金で消費するというライフスタイルに依りすぎているのではないか。もっと生産者としてのバランスを取れる経済圏の構築をしていきたい。

 

インタビューを終えて

 

過去から振り返ると、コリッコが発展してきているのでとても楽しみにしている会長。鎌田家が三世代前から太宰府で暮らしているという事やその成り立ちから発生しているコリッコ。このような背景や親子の関係性を活かして、楽しいことをたくさん生み出していきたい。